休日のお昼前、子どもの習い事の送り迎えで車から降りたときでした。
スマホに届いたメールを見ると、そこにはアフィリエイト報酬が発生したという通知が表示されていました。
金額は約3,000円。
「え? うそ!? やった!」
「自分で稼げた!」
「給料以外に、自分の力でお金を稼げた!」
本当にうれしかったです。
今まで会社から給料をもらうことでしか収入を得たことがなかった私が、自分で作ったブログからお金を生み出せたのです。
この約3,000円が、私の人生を大きく変えることになりました。
そして同時に、後から振り返れば、私をとんでもなく甘い脱サラ計画へと走らせた最初のきっかけでもありました。
この記事でお伝えしたいのは、主に次の3つです。
- 約3,000円の初報酬が、脱サラを考えるきっかけになったこと
- その後も商品が売れたことで、脱サラへの自信を深めたこと
- 問題だったのは脱サラ自体ではなく、準備不足のまま辞めたこと
50歳手前、中間管理職として働いていた
私は50歳を目前にして、長年勤めてきた会社を辞めました。
退職前は中間管理職でした。当然、責任の重い立場です。
管理職になったからといって、それまで担当していた仕事が大きく減るわけではありませんでした。
これまでの仕事をこなしながら、管理職としての仕事と責任が増えていく。
仕事の量が変わらないどころか、むしろ増えているのに、責任だけがどんどん重くなっていくように感じていました。
残業が続く日もありました。
体力的にも精神的にも、かなりしんどい時期だったと思います。
そんな毎日の中で、私はいつも漠然とした不安を抱えていました。
「このまま定年まで働き続けていいのだろうか」
それだけではありません。
「そもそも、この重責を抱えたまま定年までたどり着けるのだろうか」
定年まで会社に残る未来よりも、その前に自分が潰れてしまうのではないかという不安があったのです。
ただ、当時は会社を辞めた後に何をするのか、明確な答えを持っていたわけではありません。
会社以外から収入を得る方法も、ほとんど知りませんでした。
スマホで偶然知ったアフィリエイト
そんなある日、スマホで何気なく情報を見ていたときに、「アフィリエイト」というものを知りました。
ブログで商品やサービスを紹介し、その記事を読んだ人が商品を購入したり、サービスに申し込んだりすると、紹介者に報酬が入る仕組みです。
私はそれまで、ブログを作った経験がありませんでした。
当時のTwitter(現在のX)も利用したことがありません。
それでも、見よう見まねでブログを立ち上げてみました。
アフィリエイト広告を掲載し、Twitterのアカウントも作って、自分が書いた記事を紹介するようになりました。
今のようにSEOの知識があったわけでもありません。
検索する人がどのような情報を求めているのか、競合サイトがどのような記事を書いているのかといったことも、まったく考えていませんでした。
ただ面白い記事を書けば、誰かが読みに来てくれる。
それを100記事書けば、アクセスも収益もどんどん増えていく。
本気でそのように思っていました。
今の私が当時の記事を見れば、おそらくこう言います。
「これは誰が読むねん!」
しかし、書いていた本人は大真面目です。
「今回の記事も大傑作! ウケるw」
「これはきっと、みんな読みに来るぞ!」
そんなことを本気で思いながら、記事を書き続けていました。
もちろん、現実はそんなに甘くありませんでした。
記事を書いても、なかなか収益は発生しません。
「このままではダメだ…」
そう思い、アフィリエイトに関する情報商材を購入したり、自分なりに勉強したりしました。
最初のころよりは、少しずつ商品を紹介する記事らしいものが書けるようになってきました。
そして、ようやく訪れたのが、あの約3,000円の初報酬だったのです。
何気なくTwitterで紹介した記事から商品が売れた
初報酬が発生したのは、女性向けの美容商品を紹介した記事でした。
私はその記事をブログに公開し、何気なくTwitterでも紹介してみました。
当時の私は、アフィリエイト商品が売れるとすれば、Googleなどの検索結果から記事を見つけてもらい、ブログに訪れた人が購入するものだと思っていました。
Twitterからブログに来て、商品を購入してくれる人がいるとは、ほとんど考えていなかったのです。
ところが、ツイートしてからそれほど日数がたたないうちに、商品が売れました。
「えっ、こんなんでいけるの?」
大きな衝撃を受けました。
ブログとTwitterを組み合わせれば、本当に自分で収入を得られる。
会社から給料をもらわなくても、自分の力でお金を生み出せる。
当時の私には、そう見えたのです。
いつもの景色がキラキラして見えた
初報酬の通知を見た後、習い事を終えた子どもを車に乗せて自宅へ帰りました。
すると、いつもと同じ自宅、いつもと同じ家具、いつもと変わらない景色のはずなのに、なぜかすべてがキラキラと輝いているように見えました。
大げさに聞こえるかもしれませんが、これ、本当です。
同じ世界が、まったく違う世界のように見えたのです。
それだけ当時の私は、仕事で追い詰められていたのだと思います。
仕事に行けば、重い責任と大量の仕事が待っている。
この生活が定年まで続くかもしれない。
そんな状況の中で、自分の力で得た約3,000円は、単なる3,000円ではありませんでした。
私にとっては、会社に依存しない生き方へつながる希望そのものでした。
うれしすぎて、妻にも報酬が発生したことを話したように思います。
そしてこのころから、私の中である考えが大きくなっていきました。
「今の仕事を辞めようかな」
やがて、それは次のように変わりました。
「いや、辞めよう」
初報酬の後も商品が少しずつ売れ始めた
もちろん、初報酬が一度発生しただけで、すぐに会社を辞めたわけではありません。
初報酬の後も、同じようにTwitterからブログへ来てもらう流れで、育毛剤などのアフィリエイト商品が少しずつ売れ始めました。
毎月安定して生活できるほど稼げていたわけではありません。
それでも、初報酬が一度だけの偶然ではなく、その後もパラパラと報酬が発生したことで、脱サラへの気持ちにさらに拍車がかかりました。
「やっぱり自分でも稼げる! これは再現性がある!」
「これを本気で続ければ、収入はどんどん増えていくはずだ」
当時の私は、そう信じて疑いませんでした。
今になって振り返れば、初報酬が完全なまぐれだったとは思っていません。
自分でブログを作り、記事を書き、Twitterで紹介し、その結果として商品を購入してもらえたのですから、行動した成果ではあります。
ただし、数回商品が売れたことと、毎月安定して生活費を稼げることは、まったくの別物です。
当時の私は、その違いを十分に理解していませんでした。
初報酬から数か月後に退職を決意
正確な期間は覚えていませんが、初報酬が発生してから半年ほどの間に退職したと思います。
少なくとも、その年度内には会社を辞めました。
妻には相談しました。
当然ながら、とても心配していたと思います。
しかし、私の意志が固いことも分かっていたのでしょう。
「そこまで考えているのなら、きっと諦めないのだろう」
妻も最後は、そのような気持ちだったのではないかと思います。
当時まだ小学生だった子どもにも、会社を辞めることを話しました。
すると、
「いいんじゃないかな」
「パパがやりたいことだったら、応援する!」
そのようなことを言ってくれました。
子どもなりの率直な言葉だったと思います。
ただ、まだ小学生だったので、父親が仕事を辞めるということを、そこまで深刻には捉えていなかったのでしょうね。
職場では引き止められた
職場では、もちろん引き止められました。
人間関係に大きな問題があって辞めるわけではなく、一緒に働いてきた人たちとの関係も良好でした。
長年同じ職場で働いていれば、楽しいことだけでなく、しんどいことや大変なこともたくさんあります。
退職する日が近づくにつれて、それまでの出来事を思い出し、込み上げてくるものもありました。
それでも、脱サラするという意志が揺らぐことはありませんでした。
職場には詳しい理由を話さず、「次にやりたいことがある」という程度に伝えていたと思います。
退職にあたっては、仕事の引き継ぎや、誰にどの順番で相談するかなども考えました。
辞めることが決まったからといって、急に仕事を適当にすることだけは避けたかったからです。
これまでお世話になった職場です。
できる限り迷惑をかけず、最後まで誠意を持って仕事を終わらせたいと思っていました。
最後の出勤日にも不安はなかった
サラリーマンとして最後に出勤した日、将来への不安はほとんどありませんでした。
「明日から希望に満ちた日々が始まる」
「やっとサラリーマン生活から解放された」
そんな気持ちの方が、はるかに強かったです。
また会社員に戻ることなど、まったく考えていませんでした。
これからブログとアフィリエイトの収入は増えていく。
これまでとは違い、自分の時間を自分で使える。
好きなことを仕事にして、自由に生きていける。
根拠はあまりなかったのですが、自信だけはたっぷりありました。
しかし、不安な日々が後からやってくることなど、このときの私は想像もしていませんでした。
今振り返れば、あまりにも準備不足だった
実際に脱サラした後、アフィリエイト収益は私が思い描いていたようには増えませんでした。
失敗した場合のことも考えていませんでした。
脱サラする前に、少なくとも次のことは具体的に確認しておくべきでした。
- 毎月の生活にいくら必要なのか
- 収益が増えなかった場合にどうするのか
- 退職後の税金や社会保険料はいくらになるのか
- 独立するために、どのような手続きが必要なのか
- 収入がなくても何か月生活できるのか
そうしたことを真剣に調べないまま、辞めてしまったのです。
今の知識を持った私が、当時の自分に声をかけるとしたら、迷わずこう言います。
「やめとけ! 今は全力でやめとけ!」
私は、脱サラ自体を否定しているのではありません。
今の知識を持ったまま当時に戻れるなら、私はもう一度ブログとSNSに取り組み、最終的には脱サラすると思います。
ただし、辞める時期は慎重に判断します。
収入が一度発生しただけで判断しない。
ある程度、安定して稼げる状態が続くか確認する。
生活費や税金、社会保険料を計算する。
収益がなくなった場合の備えも用意する。
できる限り準備してから、脱サラを決断します。
問題だったのは、脱サラしたことではありません。
準備が不十分なまま、勢いだけで辞めたことです。
約3,000円の初報酬が私の人生を変えた
あの日の約3,000円がなければ、私は職場を辞めていなかったかもしれません。
あのとき感じた喜びは、今でも覚えています。
自分で収入を得られたことによって、会社員以外の生き方があると初めて実感できました。
仕事で苦しんでいた私にとって、それは暗い場所に差し込んだ光のようなものでした。
だからこそ、その光に向かって全力で走りたくなったのだと思います。
結果として、私は多くの失敗をしました。
何の根拠もない「100記事書けば稼げる」というネットの噂を信じ、誰にも読まれない記事を一生懸命書いたこともあります。
収入の見通しを甘く考え、退職後に現実の厳しさを知ったこともあります。
それでも、あの初報酬が無意味だったとは思いません。
約3,000円の報酬をきっかけに脱サラした私は、ずいぶん無計画だったと思います。
しかし、あの日からブログ、SNS、SEO、お金、投資について学び、何度も失敗しながら前へ進んできました。
あのとき見えたキラキラした世界には、私の思い込みもかなり含まれていたのでしょう。
それでも、会社の外にも自分が生きられる世界があると知ったことだけは、間違いではありませんでした。
今まさに脱サラを考えている人に、「辞めるな!」とは言いません。
ただ、数回うまくいっただけで、これからも同じように稼げると思い込まないでください。
会社員生活から抜け出したい気持ちが強いほど、自分にとって都合のよい情報だけを信じたくなります。
脱サラ後にどのような生活が待っているのか。
収入が増えなかった場合、どうするのか。
税金や社会保険料はいくら必要なのか。
家族はどう考えているのか。
それらをしっかり調べ、準備したうえで決断してください。
これは、初報酬に舞い上がり、根拠のない自信だけで仕事を辞めた私からの、心を込めた忠告です。