会社員を辞めれば、給料がなくなる。
収入が減るのだから、支払う税金や社会保険料もすぐに少なくなる。
脱サラ前の私は、なんとなくそのように考えていました。
ところが実際に会社を辞めてみると、想像していた状況とはまったく違いました。
アフィリエイト収入は、月に数千円ほど。
1万円にも届かず、売上がゼロの月もありました。
それなのに、会社員時代の収入をもとに計算された住民税の通知が届きます。
通知書に書かれた金額を見たときは、
いやいや、今の収入を知っていますか?
と言いたくなりました。
もちろん、市役所が私の現状を無視して意地悪をしているわけではありません。
住民税は原則として前年の所得をもとに計算されるため、会社員時代の収入が多ければ、退職後に収入が減ってもすぐには安くならないのです。
さらに、国民年金保険料の負担や、住宅ローン控除の恩恵を十分に受けられない問題もありました。
会社を辞める前の私は、
- 翌年の住民税はいくらになるのか
- 国民年金へ切り替えたらいくら必要なのか
- 住宅ローン控除はどうなるのか
- 収入が増えなかった場合に何年生活できるのか
といったことを、ほとんど調べていませんでした。
この記事では、準備不足のまま脱サラした私が、退職後の住民税や国民年金で驚いた経験と、今の私なら退職前に何を準備するのかを紹介します。
収入が安定する前に会社を辞めてしまった
私が会社を辞めたのは、50歳になる少し前です。
当時は中間管理職として、通常の仕事に加えて部下や組織に対する責任も増えていました。
残業も多く、
「このまま定年まで続けられるのだろうか」
「いつか自分が潰れてしまうのではないか」
という不安を感じていました。
そんな中、未経験から始めたブログとTwitterを通じて、初めて約3,000円のアフィリエイト報酬を得ました。
給料以外の方法で、自分の力によってお金を得られた。
その経験は、私にとって衝撃的でした。
その後も何件か商品が売れたことで、
これなら会社を辞めても、時間をかければ収入を増やせるかもしれない
と思うようになります。
しかし、私はアフィリエイト収入が安定する前に退職しました。
生活費や税金を細かく試算したわけでもありません。
収入が伸びなかった場合の対応も考えていませんでした。
「会社を辞めて作業時間が増えれば、ブログ収入も増えるだろう」
という期待だけで、先へ進んでしまったのです。
私が50歳手前で会社を辞めることになった経緯については、次の記事で詳しく紹介しています。

会社員時代の住民税は給与から引かれていた
会社員時代も、当然ながら住民税を支払っていました。
ただ、給与から毎月自動的に引かれていたため、自分で支払っているという感覚が薄かったのだと思います。
給与明細には住民税の金額が記載されています。
それでも、手取り額を確認するだけで、
「年間で合計いくら住民税を払っているのか」
まで真剣に考えたことはありませんでした。
会社員の住民税は、通常、勤務先が毎月の給与から差し引いて市区町村へ納付する「特別徴収」という方法で支払われます。
一方、退職などによって給与から差し引けなくなると、残りの住民税が最後の給与などからまとめて徴収されたり、自分で納付する「普通徴収」へ切り替わったりします。
退職時期や会社側の処理によって納付方法が変わるため、退職前に会社の担当部署へ確認しておくことが大切です。
住民税は現在の収入ではなく前年の所得で決まる
私が特に理解していなかったのが、住民税が計算される時期です。
住民税の所得割は、原則として前年の所得をもとに計算され、翌年度に課税されます。
例えば、会社員時代に給与を受け取っていた年に退職した場合、その給与所得をもとにした住民税が、翌年に請求されます。
退職後の収入が月に数千円だったとしても、住民税がすぐに現在の収入へ連動するわけではありません。
当時の私は、この仕組みをきちんと理解していませんでした。
頭では、
「退職後もしばらく税金を払う必要がある」
くらいは分かっていたのかもしれません。
しかし、実際の金額を計算したことはありません。
そのため、会社員時代の給与をもとに計算された住民税の通知が届いたとき、
こんなに払わなければならないのか
と驚きました。
収入は会社員時代より大幅に減っている。
それなのに、税金は会社員時代の収入をもとに請求される。
脱サラ直後の私にとって、この時間差は大きな負担でした。
住民税の通知が届いたころ、ブログ収入は月数千円だった
退職後、私のアフィリエイト収入は期待どおりには増えませんでした。
会社員時代に発生した売上は、今から考えれば再現性のあるものではなかったのです。
月の収入は数千円ほど。
1万円に届かない月が続き、売上がまったくない月もありました。
それでも、生活費は毎月必要です。
住宅ローンもあります。
食費や光熱費もかかります。
そこへ、会社員時代の収入をもとに計算された住民税が加わりました。
私は、退職後のために十分な生活防衛資金を計画的に用意していたわけではありません。
会社員時代の貯金がたまたま残っていたため、そこから支払うことができただけです。
貯金は、増えるどころか減り続けます。
収入が増えない焦り。
税金を支払わなければならない不安。
家族に申し訳ないという気持ち。
私は、想像していた自由な脱サラ生活とは、まったく違う現実に直面しました。
収入が安定する前に退職し、ブログ収入が伸びなかった失敗については、次の記事で詳しく紹介しています。

国民年金保険料も自分で支払うことになった
会社員時代は、厚生年金保険料も給与から差し引かれていました。
退職後に別の会社へ再就職せず、自営業者や無職になる場合、20歳以上60歳未満の人は、原則として国民年金の第1号被保険者への切り替えが必要です。
私も退職後、国民年金保険料を自分で支払うことになりました。
会社員時代は給与から自動的に引かれていたものが、退職後は自分の口座や納付書から直接出ていきます。
すると、負担をより強く感じるようになりました。
会社員時代の厚生年金保険料には、事業主が一部を負担する仕組みがあります。
一方、自営業者になれば、国民年金保険料を自分で管理して支払います。
私は退職前に、
- 国民年金保険料が毎月必要になる
- いつまで支払うのか
- どのような手続きが必要なのか
を、十分に確認していませんでした。
住民税だけでなく、年金やそのほかの固定費も含めて退職後の資金を考える必要があったのです。
住宅ローン控除の恩恵も十分に受けられなかった
私には、住宅ローンが残っていました。
会社員時代は、住宅ローン控除によって所得税の負担が軽くなっていました。
当時の私は、
「住宅ローン控除の期間が残っているなら、退職後も同じように得をする」
くらいに考えていたと思います。
しかし、住宅ローン控除は、住宅ローン残高に応じた金額がそのまま現金でもらえる制度ではありません。
原則として、その年に納める所得税から一定額を差し引く住宅ローン控除という制度です。
所得税から控除しきれなかった分については、一定の条件と上限の範囲内で翌年度の住民税から控除される場合があります。
つまり、収入が大きく減り、そもそも納める所得税が少なくなれば、控除できる税額も少なくなります。
私の場合は、脱サラ後に収入が大幅に減ったことで、住宅ローン控除の恩恵を十分に受けられなかったと感じました。
会社を辞めれば給料がなくなることは分かっていました。
しかし、
収入が減ることで、これまで受けていた控除の価値まで小さくなることがある
という点までは考えていなかったのです。
お金を知らないまま脱サラした代償は大きかった
今振り返ると、私は脱サラ前に「どうやって稼ぐか」ばかり考えていました。
ブログを何記事書くか。
どのアフィリエイト商品を紹介するか。
どのようにアクセスを増やすか。
そのようなことには関心がありました。
一方で、
- 税金
- 社会保険
- 年金
- 住宅ローン
- 生活防衛資金
- 収入が増えなかった場合の対応
については、ほとんど調べていませんでした。
会社員を辞めた後に必要なのは、売上を増やす知識だけではありません。
支出を把握し、税金や社会保険料を支払いながら、生活を続けるための知識も必要です。
私は、そのことを退職後に知りました。
あまりにも遅すぎました。
退職前に戻れるなら住民税を先に計算する
現在の知識を持ったまま退職前へ戻れるなら、まず翌年の住民税を計算します。
正確な金額が分からなくても、市区町村の試算ページや前年の給与明細、源泉徴収票などを使えば、おおよその負担は確認できます。
そして、その金額を普段の生活費とは別に確保しておきます。
「貯金がこれだけあるから大丈夫」
と考えるのではなく、
- 翌年の住民税
- 国民年金などの社会保険料
- 住宅ローン
- 毎月の生活費
- 事業に必要な経費
を分けて考えます。
退職した瞬間に、すべての支払いが現在の低い収入に合わせて安くなるわけではありません。
会社員時代の収入によって発生する負担が、退職後にも残ります。
この時間差を理解しているかどうかで、退職後の安心感は大きく変わると思います。
今の私が考える脱サラ前の資金条件
今の私なら、アフィリエイト収入が少し発生しただけでは会社を辞めません。
脱サラを考える場合は、少なくとも次の条件を確認します。
副業の月収が給与水準に近づいているか
現在の私なら、給与の年収を12か月で割った金額を一つの目安にします。
賞与も含めた年収を基準にし、経費を差し引いた後に残る金額で考えます。
一度だけ大きく売れた月ではなく、ある程度継続して収入を得られているかが重要です。
生活費を2年分ほど用意できているか
私が退職したときは、十分な生活防衛資金を計画的に準備していませんでした。
今なら、収入が増えない期間を想定し、少なくとも2年分程度の生活費を用意します。
そのうえで、住民税や国民年金など、退職後にも必要になる負担を試算します。
収入が増えなかった場合の対応を決めているか
ブログ収入が伸びなかった場合に、
- 再就職する
- アルバイトをする
- 業務委託の仕事を探す
- これまでの経験を生かして別の収入を得る
など、次の選択肢を考えておきます。
「絶対にブログだけで成功する」
と決めつけるのではなく、家族の生活を守るための逃げ道を用意することも必要です。
稼ぐ準備だけでなく支払う準備も必要だった
脱サラ前の私は、会社を辞めた後にどれだけ稼げるかばかり考えていました。
しかし、実際に困ったのは、
収入が少ない時期にも支払わなければならないお金
でした。
住民税は、前年の会社員時代の所得をもとに計算されます。
国民年金保険料も必要です。
住宅ローン控除も、収入が大幅に減れば、会社員時代と同じように恩恵を受けられるとは限りません。
私は、このようなお金の仕組みを知らないまま会社を辞めました。
その結果、収入が増えない焦りに加えて、税金や年金を支払う不安まで抱えることになりました。
会社を辞める前に戻れるなら、過去の自分にはこう伝えます。
脱サラに必要なのは、勇気だけではありません。
ブログの知識だけでもありません。
収入がなくても続く支払いを把握し、それを乗り越えられる資金を用意することが必要です。
住民税の通知書を見て青ざめてから気づくのでは、遅いのです。